浜松市市民協働センターBLOG

前回ご紹介した浜松医療系大学・社会活動系学生団体のインタビュー記事『つながりを作る学生たち』の続きです。

取材場所は浜松医大の教室で、８名の前代表・現代表の方々が集まってくださいました。


浜松医大、聖隷クリストファー大学の医療系学生さん達で、それぞれ、災害支援や中高生への性教育など、社会活動系の学生団体をされています。




インタビューをしている最中に考えていた事が「地に足のついた意見を持っている人達だなぁ。」いう事。
お話に現実味が有って、理想やイメージばかりが先行していないのです。
例えば、子どもへの医療教育の場合、子どもや幼稚園・保育園が何を求めていて、現場では何をして良いか、何をしてはいけないかを知っている。

現場を見ずに「この活動は素晴らしいものです！社会的に意義があります！だからきっと皆さん喜んでくれるはずです！！」という思いばかりが先行してしまうお話ってままあります。

でも、今回のインタビューでは、それを感じる事が少なかったのです。
それはきっと、みなさんが団体の活動を通して現場と接する機会が多いからでしょう。


【左からLuce前代表・田中さん、Luce代表・菊池さん、SCORA代表・山下さん】

災害支援を主な活動内容とする団体『Luce』の前代表・田中さんが団体を立ち上げた理由は、東北の被災地に足を運んだことがきっかけでした。
支援に向かうまでは、ボランティアに関心も無かったし、好きでもなかったと言います。
しかし、現場に足を踏み入れると、マスコミの話と現地の状況が全く違う事を感じたそうです。
「支援者が殺到していて、向こうに言っても迷惑になるだけだ、と聞いていたが、現場はそうではなかった。」「人手が足りていないはずなのに、医療を学んでいるはずなのに、何も出来なかった自分が悔しかった。だから団体を設立したんです。」団体の設立理由を尋ねると、そう話してくれました。

今回の取材に出席してくださった５つの学生団体のひとつ、『ぬいぐるみ病院』の活動は幼稚園や保育園に出向いて、子どもに保健教育をすることです。
同じく出席してくださった団体『SCORA』は中高学生に向けて性教育をしています。
リアリティのある意見は、活動を通じて異なる立場の人々と交流することで、育まれてきたものなでしょう。


【左から、ぬいぐるみ病院前代表・濱名さん、ぬいぐるみ病院代表・外島さん、つながり前代表・増田さん】

興味深かったのは、医療系団体同士を繋げる団体『つながり』の前代表・増田さんの「(私たち)医療側の人間は、患者さんの事を、自分達とは違う向こう側の人、という捉え方をしている人が多い。」という話でした。
医療側は医療側、患者さんは医療を施される側で、医療を施す側から大きな壁を作ってしまっている、と。

「それこそ、キャンパスと家の往復をするだけで、他のコミュニティに関わらなくても卒業できてしまう。自分達と違う環境で暮らす人、異なった考えを持つ人たちと接する機会が無い環境から離れ、いざ病院で患者さんを前にすると戸惑ってしまう事が多いと聞きます。

団体『SCORA』の代表・山下さんは「活動を通して社会とつながる事で、私たちの身近にはセクシャルマイノリティ始め、私たちが知らない色んな考え方や生き方をする人がいて、その人たちと将来医療で関わることがあるのだ、と真剣に考えた。活動に出会えたことに感謝している。」と話してくれました。


【左より、つながり代表・牧野さん、うなぎの会代表・鈴木さん】

そんな彼らですが、どの団体さんも設立してから２～３年という若い組織です。
だからこそ、もっと外との繋がりや活動の範囲を広げたいと考えているそうです。

外の世界とのつながりを作ることで、社会貢献する機会が広がり、また、医療の現場に出た時の糧になります。

来年には彼らの医療系サークルが合同で、『さいすて(災害ステップアップフォーラム)』というイベントも開催するそうです。
テーマは「知って、考えて、行動する。」
「全国の医療系学生を集め、今まで注目されてこなかった切り口から、東日本大震災で起こった現実を知って、考え、行動するきっかけをつくりたい。」

熱っぽく話してくれる彼らの話はとても楽しく、用意してくださった２時間はあっという間に過ぎていきました。
すっかり日が傾いた道を通って職場に戻る時、彼らの元気な姿を思い出して、自分もウカウカしていられないなと感じた次第です。